■一人ロマ受け祭りログ 第一弾(英+ロマ)
屋敷内の薔薇園に入ると、鼻腔を掠めるのは薔薇の甘美な香り。 …と、微かな歌声が聞こえてきた。 見渡すと濃い茶色の髪の少年が薔薇の間から見えた。 …先日、フランシスから保護した国…ロヴィーノだ。 ―――自分と何度も海の覇権を巡って争ってきたアイツの。 何度もその身に代えても護ってきた、国(楽園)の子。 屋敷内にいないと思ったら、ここにいたのか。 声をかけようかと思ったが、やめた。 あのロヴィーノが、歌っている。 無愛想で必要以上は喋らない。そして常に気を張って 中々打ち解けようとしない、あのロヴィーノが。 興味が湧いた。…一体何の歌を歌っているのか、と。 耳を澄ませてみると、なかなか綺麗な声だ。 容姿も流石列強諸国がこぞって手に入れたがったほど、美しい。 それゆえ、この俺でさえも思わず見惚れるほど、絵になっていた。 ロヴィーノは屈んで薔薇に話かけるように歌っていた。 しかし、その歌は途中で途切れた。 ふいに立ち上がったロヴィーノが天を仰いだ。 オリーブ色の瞳が揺れていた。 そして、唇が微かに動いたが、それは音にならなかった。 (ア ン ト ー ニョ……) 唇の動きだけで読み取ると、あぁ。と理解した。 先ほどの歌は、恋の歌だ。 多分、きっと。何度も一人で歌っていたんだろう。 …カリエドを、想いながら。 「ロヴィーノ・ヴァルガス。」 「っ!……カークランド……様。」 付け足したように『様』を付けるロヴィーノに苦笑する。 きっと一生懸命敬語で対応しようとしたんだろう。 「……薔薇が好きなのか?」 「は?」 じっと見詰めると、慌てたように頷いて見せた。 俺は見渡した中で一番綺麗に咲いている紅い薔薇を手折ると 棘を懐に忍ばせておいたアーミーナイフで取ると、 ロヴィーノに手渡した。 「…ほらよ。」 「えっ?えぇ?あの……。」 「早く受け取れ。薔薇が可哀想だろ!」 「はっはい!?」 あたふたしながらも、ロヴィが受け取ったのを見て アーサーはくるりと踵を返した。 「来い。とっておきのローズティー淹れてやる。感謝しろよ。」 「え、はぁ…ア リ ガト…ゴザイ、マス?」 「ついでにスコーンも…。」 「そっそそそそそれは全力で遠慮しますっ!!!!!!」 2009年3月5日 初出 2009年9月21日 up |
■一人ロマ受け祭りログ 第二弾(普+ロマ) 普ロマで現代パラレル。 ロヴィーノ→高校生 ギルベルト→大学生 ・…・…・…・…・…・…・…・…・…・…・…・…・…・…・
放課後の帰り道で、何故か泣きそうな顔をしたロヴィーノを見つけた俺は とりあえずバイクの後ろに乗っけて走り出した。 後ろでわーわー喚くロヴィを無視してカッ飛ばすと、 文句言いながらも後ろで『もっとスピード出せ!』と あの涙は嘘か。と思うほど、楽しそうである。 まぁいいけどな。 散々スピードを出して飛ばしてやってきた海岸でバイクを止めた。 辺りは夕焼けで赤く染まっていた。 「…で。何のつもりだこのジャガイモ野郎二号!」 「二号ってなんだ二号って!つーか俺はジャガイモ野郎なんつー 名前じゃねぇー!俺様の名前ぐらい覚えておけ。」 「フン。ジャガイモの兄だからそれで十分だ。」 「かーっ…相変わらず可愛くねぇ〜〜〜〜〜〜っ。」 弟のフェリちゃんは可愛いよな〜。 あぁなのに、コイツときたら! ムッとしたものの、ロヴィーノは沈んでいく夕日を眺めていた。 その視線は、やはりどこか悲しげで俺も隣に立って、夕日を見た。 「…アントーニョにでもフラれたか。」 「なっばっ……ちげーよ!!」 「何だ、図星か!ケセセ。」 「違うって言ってんだろ!…あいつが空気読まなかっただけだ。」 ちくしょうが。と、ふいに滲んだ涙を制服の袖で乱暴に拭う。 アイツが空気を読まないのは昔からだが…。 見ていて哀れというか、切ないな。 思わず抱き寄せた。 「何すんだっ離せっコノヤロ…!」 「何だよ、折角慰めてやってンのに。」 「よけーなお世話だっ!」 恋愛(こい)なんて傷つくもの…そうだろ? 「俺が忘れさせてや…ぐはっ!」 「離せっつってんだろ馬鹿やろうがぁ――――!」 ロヴィー、得意の頭突きが炸裂したのだった。 2009年3月7日 初出 2009年9月21日 up |
■一人ロマ受け祭りログ 第三弾(西→ロマで西+墺) ・…・…・…・…・…・…・…・…・…・…・…・…・…・…・
「で?何をしにきたんですか?」 「せやから、さっきからゆーてるやん!ロヴィーノ返してぇなって!!」 ローデリヒは『このお馬鹿さんが!』と何度目かの溜息をついた。 「これは各国の了承も得た正式な条約ですから、無理です。 …と、何度言えば理解するんですか。このお馬鹿さんが! 大体、こんな無茶なやり方で、『はい分かりました』とはいかないのは 貴方も子供じゃないんですから、わかっているでしょう!まったく…。 わかったら、お帰りなさい。このお馬鹿さんが!」 「それは…わかっとる。わかっとるけど、納得いかへん!! なぁローデリヒ、頼むわ。ロヴィーノだけは返してぇな…。」 アントーニョは気難しい、目の前の男に懇願する。 が、ローデリヒは答えは変わらないとばかりに 優雅な仕草でお茶を飲んでいる。 「なー、ローデリヒ〜〜〜〜っほんま、頼む!! ロヴィーノだけは返してぇや〜。」 「…………。」 「なー、なー、なー。」 「………………。」 「ロー…。」 「五月蝿い人ですね。駄目なものは駄目です。 早くお帰りなさい、このお馬鹿さんが!」 「せやから、ロヴィーノ返してくれたらってゆぅてるやんか。」 …これでは堂々巡りである。 ローデリヒは思わず頭を抱えたくなった。 「…でしたら。もっと正式な方法で来なさい。 こんな無茶な遣り方ではなくて、正式な場を設けなさい。 方法は…―――――子供じゃないんですから、知ってるでしょう。 それでしたら、私も応じましょう。分かりましたか?このお馬鹿さんが!」 そういうと、アントーニョは黙って俯いた。 「少し、頭を冷やしなさい。」 「………せやね。うん、わかったわ。」 顔を上げたアントーニョはほんの少しいつもの笑顔を翳らせて笑った。 そのまま立ち上がって、『ほな。』といって帰ろうとする背に、問うた。 「……――――何故、そこまであの子に拘るのですか。」 確かに、貴方に預けたのは自分だ。 けれど。 目立った特産品もない、貿易や芸術などに置いてもロヴィーノよりも 弟であるフェリシアーノの方が上手く、 何をしても不器用なせいか、上手くいかないことの方が断然多い。 扱いにくいことこの上ない。それなのに、金だけは喰う。 それなのに。 「…―――そんなん、ロヴィーが俺の子分やからに決まっとるやん。」 「それだけ、ですか?」 じっと見詰められて、アントーニョは目を泳がせた。 「………なんでもお見通し、かぁ。敵わんなぁ、お貴族様には。」 「あまり入れ込むな、と言ったはずですよ。」 「せやなぁ………でも、それでも俺にはあの子が、 ――――――――――ロヴィーノが必要やねん。」 確かに、不器用で上手く出来ないことのほうが多いけれど。 それでも。 戦場から、 上司の小言やらを聞いて帰ってきた時。 憎まれ口叩かれても。 ロヴィーノの顔見たら、ほっとすんねん。 何も出来んくても、もう、かまへんよ。 せやけど、傍におってほしいんよ。 守らせてほしいんよ。 その役目は、誰にも譲りたぁないねん。 「せやから、必ず。…取り返しにくんで! それまでロヴィーのこと、頼むわ。」 そう行って、アントーニョは帰って行った。 2009年3月8日 初出 2009年9月21日 up |
■一人ロマ受け祭りログ ラスト(伊ロマ→西) ・…・…・…・…・…・…・…・…・…・…・…・…・…・…・…・…・
カーテンの隙間から差し込む光で目覚めると、 俺はうんと一つ伸びをしてから起き上がる。 …隣で眠る兄の寝顔を見て、ふと微笑む。 僅かな寝息の零れる唇に、こっそりとキスを落とす。 柔らかなぬくもりに、俺の頬は緩みっぱなしだ。 「…おはよう、兄ちゃん。」 今日という日に一番最初に会いたい人。 そう。 今日は僕らの誕生日。 「ん……。」 「あ、兄ちゃん起きた?おはよ〜!誕生日おめでとう〜!」 「ふぁ……おはようっていうか…お前もだろ。」 …誕生日。 と、兄はまだ眠そうな目を擦りながらのそりと起き上がる。 途端に露になる俺よりも少し日に焼けた肌。 あぁ、綺麗だなぁ…。 「そうだね。…じゃあ誕生日プレゼント、頂戴♪」 「はぁ?ふざけんな。…金ならねーぞ。」 「お金かからないから、大丈夫だよ〜。…聞いてくれる?」 「…聞くだけなら。聞いてやらないでもないぞ、このやろー。」 お願い。 「あのね。兄ちゃんから、俺に…キス、して。」 「…………は?」 「いいでしょ?誕生日だから、ねぇ、兄ちゃん?」 「なんで俺がお前にキスなんかしなくちゃいけないんだよ。 ―――――――――絶対嫌だからな。」 その言葉に、僅かに胸が痛んだ。 「え〜〜〜っ俺、兄ちゃんにキスして貰わないと死んじゃうよぉぉ!」 ヴェー――――っと泣き真似をしてみせると、兄は焦ったように言った。 「なっこんなことで泣くなこのやろー!」 「ヴェー。だってっ兄ちゃんが〜〜〜〜〜っ。」 「…あー。ちくしょう、解かった。分かったから。してやるから泣き止めっちくしょうが…。」 「ほんと!?」 「……たく…今日だけ特別だからな。」 「うん!」 兄ちゃんは俺の顎をくいと掴んで引き寄せてそっと唇を重ねてきた。 お願いって、言ってみるものだね。 これだけで凄く嬉しくて、生まれてきたことに凄く感謝したくなった。 …けれど。 兄の首筋に残る、あの人の所有印を目の端が捕らえた。 …ずるい。 兄ちゃんは俺と一緒になったのに。 俺の、兄ちゃんなのに。 どうして、いつまでも兄はあの人のもののままなの。 悔しいから、俺も反対側に噛み付いて自分の痕をつける。 嗚呼。 俺のいちばん欲しいモノは、まだ手に入らない。 2009年3月17日 初出 2009年9月21日 up |