おれ、死ぬのかな……って思った。
それでも、ガクガク震える足に気付かないふりして、キッと前を見据えた。
目の前の男…―――をにらみつけた。
男は担いでいた血の滴る斧を地に付け、こちらの動向を窺っているようだ。
見てのとーり、俺は武器なんか持っちゃいねぇよ!
だから。
だから。
「こっち来んなっ!!」
怖い。
怖い。
誰か。
誰か、助けて…!
…誰かって誰?
誰が助けてくれるんだ。
…誰も、いねぇじゃねーか…ちくしょう。
じりじり後退るも、一、二歩下がったところで背後は壁だ。
逃げようにも、ここには男の後ろにあるドアからしか出られないんだ。
八方塞、もう後は命乞いでもするしかない。
しかし、男は斧を床に置くと、俺の目の前で膝をついた。
「っなん…」
「なぁ、お前が南イタリア?」
「……だったら、なんだよ…どーせお前らは俺の家めちゃくちゃにしに来たんだろっ。」
今までの支配国に散々な目にあったから、もう誰がきてもどうでもいい。
「そうかー。えぇトコやねーここ。」
「……………は?」
「空も海も…なんやめっちゃ綺麗で、ここでシエスタしたら絶対気持ちえぇやろなー。」
シエスタ?
「だ、だからなん…」
「だから…―――――――――――余計にフランスにやるのが、惜しくなった。」
「…は…?」
「うん?だからな、南イタリア。俺と…――――――――取引しようや。」
そう言って、男はにっと口の端を上げて笑った。
何、言ってんだ…こいつ。
その時初めて俺は、その男の眼を真直ぐ見た。
みどりいろ…だ。
「お前が俺に忠誠を誓うなら、俺はお前をフランスでも、何からでも絶対守ったる。…どや?」
「フン…そんなもん信じられるわけねーだろ。」
…どーせすぐ、俺のことなんか見切り捨てるくせに。
他のヤツらみたいに。
俺のことなんて見てないんだろ。
じーちゃんの遺産だけが目当てなんだろ。
…分かってる。
俺にはそれしかないから。
「信じる、信じんはお前の勝手や。けど…ほな、お前はこのままあのフランスに好きにされてもえぇの?」
「………。」
「お前ん家、めちゃめちゃにして、お前のこと好きに弄んでそんで…吸収されて消えてもえぇの?」
「……っいやだ…そんなの…!!いやにきまってんだろっちくしょーめ!!」
「どっちにしろ、早ぅせんと、そのうちここにも攻め込んでくるで。」
「だからって、お前には従わないからな!!どーせ、お前もフランスも変わらねぇんだからなっ!」
だけど。
…どっちも嫌と言っても、抵抗する力もない。
…どうしてこんなに無力なんだ…俺は。
「…どっちにしたって同じって言うんやったら、どっちか選べや。」
「…っ。」
「お前がそうやって選択躊躇ってるせいで、他の罪のない民が犠牲になる。
こうやってる間にも、一人、二人、死んでもうてるかもな。」
「そんなの…っ!!」
どこか遠くないところで爆音に似た争いの声が聞こえてきた。
きっともう、すぐ傍で戦が始まっている。
そして…――――――。
「…――――――さぁ、どうする?」
「…―――――――っ。」
こうしてる間にもこの国の民が犠牲になってる。
分かってる。
分かってんだよ、畜生!
でも、でも…っ!
誰かに支配されるのは嫌だ。
だけど…一人で立てるほど、俺は強くなんかないんだ…。
ぎゅっと服の裾を握っていた俺の手を、その男…――――――――スペイン、は取った。
そして、その手に口付けた。
それにびっくりして手を引っ込めようとしたが、男の両手で握り直された。
「約束する。絶対俺がお前のこと、守ってやる。」
「だから、俺のモンになれや。」
「俺に…―――――――忠誠を誓え。」
上から目線で見やがって。
守るって。絶対、とか嘘に決まってる。
どーせ、お前もじーちゃんの遺産目当てなんだろ。
分かってる…のに。
その瞳はどこまでも純粋で綺麗で強い…まるで…――――――――――。
パシッと男の両手を振り払う。
それを『交渉決裂』と思った男はつまらなさそうに立ち上がった。
だけど俺は男の服の裾を掴んだ。
「お前のこと、信じたわけじゃねーからな…!」
そう前置きをしておきながら、俺は男が自分にしたように膝をついてその手を取った。
そして…―――――。
「…我が南イタリアは…貴方に従い、忠誠を誓うと約束しましょう。」
その手に口付けた。
顔を上げると、男は満足そうに笑うと、頭を撫でてきた。
「よっしゃ。交渉成立やな…!ほんなら、手始めに…頑張ってあの髭ここから追い出したる。
まぁ、ちーとばかし、戦況は不利やけど…なんとかなるやろ!」
「おいっ!負けたら承知しねーぞこのやろー。」
先程の貫禄はどこへやら。
『絶対守る』とか大口叩いたくせに。
やっぱりこいつなんか信じたら…。
呆れていると、頭を撫でていた手がするりと頬を撫でてきた。
そして俺よりもしっかりした指が唇を撫でた。
「…大丈夫や。俺を誰やと思ってん?」
「“太陽の沈まない国”スペイン様やで。」
「誰が敵やろうが容赦せぇへん。」
そう言いながら、再び屈んできたかと思えば、唇に柔らかいものが触れた。
驚いて、パニくってる俺を面白がるように腰を引き寄せて
口内に舌を入れられて、俺の舌を絡め取るように深いキスをされて。
男の身体を押し返そうと藻掻くが、びくともしない。
それでも諦めずに抵抗しようとするけど、全部無駄なようだ。
畜生…!こんなヤツに好きにされてたまるか…!
「っや、め…んぅ………っふぁ…」
やがて、抵抗も出来なくなって男の服をぎゅっと握った。
頭がぼぅっとしてくると、男は最後に俺の唇を一舐めすると、唇を離した。
我に返った俺は、男の頬を引っぱたいた。
「…〜〜〜〜〜何しがやるっこのド変態がっ!!」
「…うん。やっぱそうでないとなぁ…。」
「はっ!?」
「従順なだけの子ぉを支配するんは面白ないからな。多少威勢がえぇ方が好きやで。」
「な……っ!!」
「さて、十分堪能させてもろたし、頑張るで〜〜〜〜〜!」
「アホっくたばれバッファンクーロ!!」
国としての俺は支配できても、心までお前には支配されない。
絶対、されない。
信じるつもりもない。
…こいつもどうせ、他のやつと一緒。
そう、思っていた――――――――――――――…。
To be continued…?
全盛期な黒親分×青年ロマってオイシイな…!
って思ったけど、黒分×ショタロマも捨て難い。
ショタロマ時代から手を出していたら親分犯罪…(笑)
しかしそうすると青年になるころには立派(?)なビッチに…!
ビッチロマ…イイ…はぁはぁ。←
…した結果、できたのがコレです。意味分からん…!!
本当文才欲しいです…。orz
2009年10月24日 up
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