自分の泊まっているホテルのエレベーターに、ロマーノを抱えたまま乗った。
そういえば、イタちゃんに部屋どこ?って聞くのを忘れたことに今更気がついた。
当然のように自分の部屋に連れ込もうとしていることにも。
(ま、えぇか。イタちゃんも多分ドイツとかと一緒やろし…)
ドイツ…か。
先程の彼の表情を見るに、あれほど邪険にされているのに、
それでもロマーノのことは嫌いじゃないらしい。
……なんか、ムカツクわ…。
カードキーで部屋のドアを開けると、電気をつけるよりも先に、
ベッドにロマーノを寝かせる。
ベッドサイドの明かりをつけると、急に冷たいシーツに移されたせいか、
ロマーノは少し身じろぐと、薄らと目を開けた。
「あ、起こしてもーた…?」
「ん…スペイ……?」
ぼんやりとした目に、優しく微笑み、ゆっくり髪を撫でた。
「寝ててえーよ?」
「…すぺいん…。」
くいと急に手を引かれて、何だろうと首を傾げると、
ロマーノは僅かに起き上がって俺の首に腕を回すと、ちゅっと口付けてきた。
触れた唇は柔らかくて、熱かった。
「…すぺいん…。」
切なく名前を呼ばれて、酷く動揺した。
寝ぼけているんだろうと、思う。
けれど、その瞳は熱く濡れていた。
ロマーノは俺の瞳を見て、ゆっくりと口を開く。
「俺のこと――――――――好きに、なっ て……。」
それだけ言うと、ぱたりと糸が切れたように眠りに落ちてしまった。
酷く五月蝿い心臓の音に、舌打ちした。
こんなキスに、こんな言葉一つに心を奪われるなんて。
(ずるいやん、そんなん…!)
眠ってしまったロマーノの身体をそっと抱きしめた。
「もうとっくの昔に、好きになっとるよ…。」
ロマーノにはまだ聞かせられない言葉を、そっと呟いた。
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