【 と こ ろ に よ り 猛 暑 注 意 】

「ボーノトマト、ボーノトマト、ボーノボーノウートマトッ♪」

ふんふんと歌いながら次々とトマトを収穫していく、
すこぶるご機嫌なご様子の可愛い恋人に、自然と頬が緩んだ。

ちょっと前からご機嫌ナナメだった可愛い可愛い恋人は、
どうやら…俺があまりにも手を出してこなさすぎて、
怒っていたのではなく、とっても不安だったことがわかりました。


『なんでキスしないんだ』って。

あかん…!思い出しただけで鼻血出る!
ロヴィーノかわええええかわええええくぁわええええええええ!!!!
あーもうなんなん?天使なん?知っとったけど、可愛すぎやろ…!

思わず力が入ってしまって、掴んだトマトがぐちゃりと潰れた。




“恋人として”お付き合いを始めてからというもの、
ロヴィーノがあんまりにも変に意識して、何するにも真っ赤になって…
それが可愛いんやけど、悪友どもがからかうし、
(ていうか、そんな可愛いとこ、俺以外の男は知らんでえぇ!)
俺としても、あんまり緊張されると、手が出しにくい。
だから、それが抜けるまでは我慢することにした。
それに、ロヴィーノは誰かと付き合うっていうのも初めてっぽいし。
長いことずっと“幼馴染”という関係でいたからこそ。
本気やからこそ、ゆっくり進んでいきたいなぁっていうのもあった。


でも、それが逆にロヴィーノを不安にさせてたんやね。
ロヴィーはもういいよって大丈夫だよって待っててくれたのに。
気付かんかった、俺が悪いよなぁ。鈍感やって言われるわけやわ…。


「あ、お前何潰してんだよ!
自分が散々『トマトは大事に扱え』って言ったくせに何やってんだ。」

自分の手元の潰れたトマトを見て、ロヴィーノが眉を寄せた。
潰してしまったトマトに謝りつつ、勿体ないので口の中に含む。
うん、うまい。

「あー…ごめんなぁ、ロヴィーのこと考えてたら力入ってもて…。」
「はぁ?人のせいにすんなよ。ってか……何考えてたんだよ。」

じろりと睨まれて、いや、大したことやないねん。
と、誤魔化せない雰囲気だったので、正直に話すことにする。

「えっとなぁ……ロヴィーが可愛くて可愛くてたまらんわぁって
思ってたら、力入ってもーて、潰してしもうた。」
「……ふぅん。」

なんだ、ガッカリ。
そんな表現がぴったりの表情をしたロヴィーノは、
興味をなくしたように収穫を再開した。

あれ?俺、なんか駄目なこというたかな??

「ロヴィー…?なんか、俺変なこと言うた?」
「お前はいつも変だろ。いや、お前の場合、通常運転か。」
「じゃあ何で?俺、言うてくれんと…わからんよ。」

きゅっとロヴィーノの軍手をした両手を握る。
ロヴィーノが逃げないように、持っていた籠も、地面に置いて
しっかり真正面から見詰める。

「は、離せよ!トマトっ収穫するんだろ!」
「トマトよりも、今はロヴィーや。何かあるんやったら言うて。」
「べ、別になにも…っ!」

じ〜っと見詰め続けると、観念したのか、ため息をついた。

「本当に別に何もない。…いつもどおりの回答がつまらなかっただけだ。」
「つまらんかった??んー、じゃあもっとネタ凝った回答したらよかったん?」
「じゃなくって!……その、あれだ。…お、おまえが言ったんだぞ…!」
「うん??なに…――――――――」
「俺のことばっかりで頭一杯で、エロい妄想ばっかりだ!って…!!!
だっだから、どんなこと考えてんだよ(笑)ってちょっと興味があっ…
た、とかじゃねーぞ!!全然ねーよ!うん、というわけで離せっ!」

手を引っ張って離そうともがくロヴィーノには悪いが、
生憎こっちは離したくないから、無駄というものだ。

「なん?ロヴィーはえっちやなぁ。そんな聞きたいの??」
「ち、違うっ!もういいから離せよちくしょー!!!」

あかん、この子かわえぇ。によによしてまう。
自分で言うたくせに、もう耳まで真っ赤にして慌てて全否定。
しかも、ちょっとからかうと直ぐに涙目になってまうのが、また。
…たまらん。ちょっと苛めたくなってまうやん。

「ロヴィーもお年頃やもんなぁ。ロヴィーは何想像して扱くん?」
「ばっそっそんなこと聞くなっ!!もう!離せっつってんだろっ!」
「ロヴィ、女の子大好きやんか〜。巨乳のねーちゃん派?
それともロリ系が好み?」
「そりゃ、す、好きだけどっそんなこと考えてねーよ!」
「ほんなら〜……俺…?…なーんてな!いじめてごめんなぁ。
でもロヴィーが可愛いすぎるのが、あか…ん…。」
「……………っっ!」

あ、泣きそう。
トマトなんて目じゃないくらい真っ赤になったロヴィーノは、
じわわっと潤んだ瞳から、涙が零れる前にその身体を抱きしめた。
うわーやりすぎてもうたー。最悪や、俺…!

「ごめんな、いじめ過ぎたな。」
「うっ…ひっく……そ、だぞちくしょう…」
「わ〜ごめん、ほんまごめん。」
「お前なんかきらいだ…。」
「うん、ごめんなぁ。」

こんな泣かせるつっもりではなかったんや、ほんまに。
ただ、ちょっと……からかうくらいのつもりで。

「んだよ…。女の子大好きだし、ナンパもするけど、
でも付き合ってんのは、お前なんだぞっ……
何考えてんのか、なんて…そんなの、




お前のことしかねーだろっちくしょ―――――――!!」



















――――――――あかん。




鼻からトマトピューレ出た…。








嗚呼、神様









ロヴィーが可愛くて可愛くて…俺、どうしたら…。











「ロヴィー…もう俺のこと煽ったらあかん…危険や。」
「はぁ…?うわっお前鼻血出てるぞ!?暑すぎて逆上せたのか!?」
「あぁ…うん、そうかも…。」
「おい、大丈夫かよ!?」










この夏は確かに暑い。










でも、きっと俺らの恋はそれよりも熱く燃えるで。










これは予想ではなく、確定。











(これで煽ってる自覚がないんやもんな…ほんま、もう)














たまらん。








俺の恋人は世界一可愛いです。











【END】










おまけのおまけ。


「あいつら、ここ学校ってこと、忘れてんじゃねーの?
おい、誰かあいつらに自重させろよ!」
「本当、あっついねぇ。…でも、まぁ
お姫様のご機嫌が直ってよかったんじゃない?」

少々呆れながらも、仲の良い二人を微笑ましく見守るフランシス。

「……フェリシアーノちゃんのお兄様、何であんなのがいいんだろうなー。」

俺様には理解出来ないぜ。と、ギルベルトは思った。





終わり。



















西ロマがいちゃいちゃしてると、幸せ。
二人が楽しそうなら、それでいいんだよ。
…っていう妄想でした。
こんなところまで読んでくださった皆様に、
有難うございました!

2010/8/13 up