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「あ、やっと出てきた」 …………………は? 「あと五分待って出て来ぉへんかったら、ほんまに帰ろかなって思っててん」 ドアを開けた先でへらりと笑うアントーニョと目が合い、暫く放心してしまった。 え、まて。何、だ、それ。 ぐるぐると回り出そうとする思考を遮るように、アントーニョは手を伸ばして俺を抱き締めた。 アントーニョの腕の中で見上げたその顔は、酷く安堵したような 嬉しそうでいて、きゅっと心が締め付けられるような切なさを耐えた瞳がそこにあった。 「流石に、ほんの少しも見込みないんかと思って。 あんないい方して、追いかけても来られへんくらい少しも想われてへんのかなって…。 ちょっと、試した、ん…。ごめんな。怒らんといて。でも――――――自惚れてもえぇんかな、俺」 腰に回った腕の力が強くなる。 「ちょっとは、俺のこと想ってくれてると思ってもえぇんかな…」 ――――――あぁ。 俺はなんて馬鹿だったんだろう。 こんなに想ってくれていたのに、どうして気付かなかったんだろう。 こんなふうに熱の籠もった瞳で見つめられて、恥ずかしさに俯く。 赤面するほど愛されてるのを実感してしまうけれど、それに耐えられない。 あんなに言わなきゃと思っていた言葉がひとつも口に出来ない。 頷くことしか出来なくて、歯痒い。 「大好きやで、ロヴィーノ」 額に唇の感触。 満たされる。ふわりと心に甘い気持ちが広がった。 「なぁ、もう一回部屋上がってもいい?」 いいに決まってる。 「…カプチーノ淹れてやるよ」 このドアを開けた先には、 幸せしかなかった! |
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